第1講
【1番について】難易度:A
関数方程式(次数が分かっていない整式ver.)の問題。
(1) 恒等式とは、どんな値を代入しても成り立つ等式。この性質を利用。
(2) 基本的に、両辺の最高次の項に着目して、次数や係数を比較すると、次数が決定できることが多い。
n≦1のときは、右辺の最高次の項に影響する箇所が変わるので、n≦1とn≧2についての議論を行う必要がある。(この言及をしないと、減点されるだろう)
(3) 係数比較法では計算が重くなるので、(1)を利用して数値代入法で解くのがよい。
数値代入法で求めた条件は必要条件に過ぎないので、十分性の確認がいる。
(2)についてですが、今回はf(x)がn次式と設定されていましたが、何次式か分からないときは、自分でn次式であると設定しましょう。また、導関数f'(x)を含む恒等式では、両辺の最高次の係数を比較して、次数を決定することがある。
【2番について】難易度:B
補足:(3)の別解(数学的帰納法&コーシー・シュワルツの不等式を利用)
(1) , (2)までは、「条件を利用して1文字消去」や「条件を2乗して扱う」と、(左辺)ー(右辺)が平方式の和の形で表して、示すことができる。
(1) , (2)は、n=2とn=3の具体的なver.で(3)はその一般化ver.になっているので、(1)や(2)で(3)へのヒントを得られればよいが、なかなか難しいだろう。
(3)は、等号成立条件(すべての文字の値が等しくなること)を考えて、平方式の和の形を作りにいく。
相加・相乗平均の関係もそうだが、等号成立条件は文字に対称性があることが多い。
こういう経験を通して、思考力、発想力を養っていきましょう。
別解として、数学的帰納法(今年の夏の東大OPはこのタイプの帰納法が出てたみたい)の利用やコーシー・シュワルツの不等式を利用しても示せます。
(3)の別解(数学的帰納法&コーシー・シュワルツの不等式を利用)
【3番について】難易度:A
配布物:コーシー・シュワルツの不等式
背景は、コーシー・シュワルツの不等式というものであるが、この知識を知らなくても問題なく解ける。
(1)は差を取ると、1つの文字に着目すれば2次式なので、平方式の和の形を作ればよい。
ベクトルの内積と大きさの大小関係からでも示せる。
コーシー・シュワルツの不等式はベクトルの内積と大きさの大小関係として覚えておく(作れる)とよい。
(3)は(1)(2)を利用するが、大問形式で、途中に等式や不等式を示した場合は、それ以降でその等式や不等式を利用するということが非常に多いので意識しておこう。
第2講
【4番について】難易度:B ★オススメ問題
実数解条件の問題。2次試験では狙われやすいテーマ。
「x , yは、x+y=a, xy=bを満たす ⇔ x , y は、X2-aX+b=0の2解である」が成り立ち、この場合は虚数解でもOKなので、a ,bは任意の実数をとる。
しかし、x , yが実数であるという条件がつくと、
「x , yは、x+y=a, xy=bを満たす実数である ⇔ x , y は、X2-aX+b=0の2つの実数解である」が成り立ち、この場合は、(判別式)≧0から、a , bには、a2-4b≧0という制限(実数解条件)がつく。
方針としては「① 解の配置(グラフを利用)」or 「② 解と係数の関係 (重要な同値変形)」
(重要な同値:x>0 かつ y>0 ⇔ x+y>0 かつ xy>0)
今回の問題は、基本対称式(x+y , xy)が登場しているので、解の配置より、解と係数の関係で処理したくなる!?
【5番について】難易度:A
今回の問題表現は少し親切すぎる気がします。
「f(x)を推定し、~」という文言がなくても、条件 (i)が「すべての自然数 n に対して、xn+1+(x+1)2n-1は f(x)で割り切れる」とあるので、n=1 , 2 , 3 ,…として、具体化して、推測したくなってほしい。
解けそうにない漸化式のときのアプローチと同じ感覚をもてるとよい。
f(x)=x2+x+1と推定できた後は、この2次の多項式を見て、ω(オメガ)関連の話だと気づけば、帰納法ではなく、xn+1+(x+1)2n-1=0がωとその共役複素数である(-1±√3i)/2を2解にもつことを示せば、題意は成立する。
しかし、数学的帰納法でアプローチする方が多数派だと思われる。
両方大事な解法なので、両方の解法で解けるようになっておくのがよい。
【6番について】難易度:B
(1) 「方程式f(x)=0の実数解は、y=f(x)とx軸の共有点のx座標である」ということが、当たり前に言い換えれるかがポイント。
(2) f(α)=0、つまり、α3-3α+1=0という条件を使って、f(g(α))=0が示すだけなので、何とかなるであろう。テーマとしては次数下げ?かな・・・。
(3) テーマは数の大小関係というところだろうか・・・。
α1 , α2 , α3 が相異なり、g(α1) , g(α2 ), g(α3) も相異なる「これは示すべきこと」ので、(2)から、α1 , α2 , α3 とg(α1) , g(α2 ), g(α3) が1対1に対応する。
g(α1) , g(α2 ), g(α3) は、y座標であるととらえて、y=g(x)のグラフの増加性や減少性を利用して、g(α1) , g(α2 ), g(α3)の値の評価できる。
数の大小関係をグラフの増加性や減少性を利用して評価するのは、共テの数学Ⅱでも狙われるテーマの1つである。
第3講
【7番について】難易度:A
αとβは対等であり、γだけ特別である。
解と係数の関係で3式を作ったあとは、α , β , γの連立方程式とみるのではなく、
α , βの対称式になっているので、α +βとαβの塊を作り、α +β(=s) , αβ(=t) , γの連立方程式と見ましょう。
【8番について】難易度:C
「実数係数の方程式(多項式)では、a+biを解にもてば、a-biも解に持つ」ことと、実数係数の3次方程式では少なくとも1つ実数解をもつことを利用すれば、条件(ロ)により、3次方程式f(x)=0の3解がt , α , β(t は実数,αとβは互いに共役な虚数)と設定できる。
今回のポイントは、条件(イ)より、
① t3 もf(x)=の解だが、t3 が実数であることから、t にしかなりえない。
② α3もf(x)=の解だが、α3は実数にも虚数にもなりえるので、t , α , βのいずれにもなりえる。
αとβは対等なので、あとは、(i) α3=t , (ii) α3=α , (iii) α3=βの場合分けをして、最後までしっかり計算して解き切ることが重要である。
【ここからは理系の複素数平面を習っている人へ向けての話】
今回の問題の3解はすべて複素数平面上で絶対値が1(点0からの距離が1)に限られる。
なぜなら、条件(イ)により、αがf(x)=0の解なら、その3乗であるα3もf(x)=0の解であることから、
これを繰り返し用いれば、α6 , α9 , α12 , …もすべてf(x)=0の解になる。
絶対値が1より大きい複素数は3乗を繰り返していくとだんだん点0から遠ざかり、絶対値が1より小さい複素数は3乗を繰り返していくとだんだん点0に近づく。
しかし、3次方程式f(x)=0の3解は重解も含めれば、必ず解は3つしかないので、α6 , α9 , α12 , …は最初の3解であるt , α , βに一致するので、絶対値は1しかありえない。
第4講
【9番について】難易度:A
△OPMが通過してできる円は、Oからの距離が遠い点をOを中心にしてできる円であり、このとき、半径はOPとOMのうちの小さくない方(大きいor等しい)である。
あとは、OP2とOM2の大小比較をして、大きい方を用いて円の面積を立式すればよい。
【10番について】難易度:A
(1)のℓ2とℓ3の交点Rを求める記述を書くべきかは悩ましいところだが、悩むくらいなら書いた方がよい。
(2)の座標上の3点を結んでできる三角形の面積とくれば、授業中に紹介したベクトルの成分を用いたS=1/2|x1y2-x2y1|が一番ラクであろう。
(3)は解く前から折れ線の最小がテーマだろうなぁと思えるとよい。
Rがパラメータaによって表されているので、Rの軌跡(直線)を求められるかがポイント。
折れ線の最小は「対称点」を利用して解く。
第5講
【11番について】難易度:A
a , bという文字が少し煩雑に感じるかもしれませんが、計算をきっちり行うことが重要な問題。
(1)の接線の問題を解くときのアプローチは「接点を設定」or「傾きを設定」がある。
どちらの解法がよいかは問題の状況に応じて変わるが、一般には、関数の接線では、接点が1つの文字で設定でき、微分を使って接線の傾きを文字式で表せるため、接点を設定するのがよく、2次曲線では「D=0」や「d=r」が使えるので、傾きを設定する解法を取ると大抵上手くいく。
結局は好みの問題かもしれないが、自分が採用した解法で途中に行き詰ったときに、別の解法を取れるという力も大事な数学力である。
(2)は答えだけでもいい気がしますが、文字で割る場面があるので、軽く途中式を入れておくのが無難だろう。
(3)は「2点間の距離公式でPQ , QR , RPをそれぞれ求めて足す」or「△ABC=1/2r(a+b+c)の公式を利用する」
(4)は「分数関数+2変数関数の最大最小」がテーマ。
2変数関数の最大最小では従属な関係で1変数にできるのならば、1変数するのがよいが、今回は、分数式を割り算して式変形したあとに、「和が一定のときの積の最大値」というフレーズが出てくるので相加・相乗平均の関係を使うのもアリ。
等号成立条件を書いてから、最小値〇〇と書くようにしましょう。
ⅠAⅡBで分数関数f(x)の最大最小が出てきたら、「相加相乗を利用する」「f(x)=kとおいて、分母を払ったら2次方程式になり、実数解条件でkの範囲を求める(逆像法)」で問題が作られることが多い。
【12番について】難易度:C
(1)は、aを決定させるための条件(状況)は何かを考えると、点(0 , a+1)における接線に対し、2点A , Bが決まり、その2点A , B とOを3頂点にもつ△OABが円C2に内接している。その状況を数式にすれば自ずと立式でき、aが求まる。
(2)は直線PQの立式を「2交点の座標を利用して立てる」か「接点から立てる」か悩みどころ。
2点P , Qの座標で直線PQの式を立てて、円C2に接する(d=r)を用いた式を整理すると答えが得られるが、計算量が明らかにこちらの方が少ない。
それは結果論のように思えるが、放物線と直線の2式を連立する、つまり、2次式と1次式を連立して2次方程式を立てる場合、やはり文字係数や分数係数だと少し計算が煩雑になりがちである。
もし、接点(s , t)における接線の式を立てる方法をとると、放物線C1の式と連立させて得られた2次方程式の2解がα , βなので、解と係数の関係を利用して処理する。(別解参照:12番の別解と補足)
(3)は、γが満たす関係式が欲しいので、(2)と同様にしてα , γの関係式も同じように作るところがポイント。
授業中に2つの解法を紹介したが、計算をゴリ押す解法とβ , γが満たす関係式が同じ形になっているので、β , γが2次方程式の2解であるという見方をするという方法である。
前者は、対称性のある2式は「足す」or「引く」が有効であることをどこかで経験していないと解けないだろう。
後者は、授業中に紹介した、「極と極線」で経験していないと、あまり経験がない見方(考え方)だと思う。
(3)はどちらの考え方も非常に重要なので、しっかり復習して理解し身に着けて欲しい。
(4)は「円と直線が接することを示せ」と問われたら、「d=r」or「D=0」を示すことを方針にするのが基本である。
第6講
【13番について】難易度:D
放物線と円の共有点に関する問題。個人的には設定はシンプルな問題だと思うが、かなり難しいと思う。
問題の状況を考えれば、Da に含まれる円の半径が最大となるのは、円がの中心がy軸上にあり、 y=1に接するというのは感覚的にすぐ分かる。
さらに、半径が最大となる円は放物線と「① 原点のみで接する」か「② 原点でない2点で接する」のどちらかの状況だということもすぐ分かるが、この問題の最も難しいところが、①と②が切り替わるaの値をどのようにして求めるかである。
円が原点を通るという状態を保ちながら、a の値を大きくするとどこかのタイミングで、原点とそれ以外の2点の合計3点を通る円に切り替わるaの値がある。
原点のみで共有点をもつか、原点を含む3点で共有点をもつかの切り替わるa の値を求めるとa=1であるが、授業では、連立して得られた共有点の座標が実数であるかどうかで、原点のみで接する状況から原点を含む3点で共有点をもつ放物線に切り替わるaの値を求めた。
円と放物線の共有点の問題は、問題の設定上、y軸に関して対称なものが与えられることが多く、このとき、2式を連立するときは、「yを消去するとxの4次方程式になる」or「xを消去するとyの2次方程式になる」が、一般的には後者の方が2次方程式なので扱いやすいだろう。
連立方程式を用いて共有点の座標を求めるときは、本来は同値変形が意識できるのがよい。
(このプリントの右下 の連立方程式の同値性を参照)
一般的に2つのグラフの式を連立して、xを消去して、yの方程式を解いたときに、共有点のy座標が実数だからといって、x座標が実数とは限らない。
特に、今回の問題の授業での解答では、x2を消去しているので、実数条件「(実数)2≧0」には要注意である。
個人的には、この問題は満点が取れなくても、部分点狙いとして、円の方程式を未知数一つで設定し、xを消去して得られた2次方程式の判別式D=0で、円と放物線が2点で接するときの半径をaで表すところまでは得点できるとよいと思う。学ぶべきことはいろいろあるので、こういう問題も時には大事にして欲しい。
個人的に時間ができたら、この問題をもっと研究して、別の解答の書き方や別解などを考えたいと思います。
【14番について】難易度:B オススメ問題
(2)と(3)が本題である。
(2)について、2次関数と3次関数では、(接線の本数)=(接点の個数)が成り立つ。
(2)は下のどれかを利用したいが、シンプルな1がオススメ。
解法3は今回の問題では少し計算が重い気がする(やってみないと分からないが…)。
1.2つのグラフのうち少なくとも一方が2次関数のときに使える解法
一方のグラフで接点を設定し、接線の方程式を立て、その接線がもう一方(2次関数)のグラフと接する条件(D=0)を利用する
2.2つのグラフが2次関数でない場合でも使える万能な解法
2つのグラフでそれぞれ接点を設定し、接線の方程式を立て、2つの接線が一致する条件(傾きが等しい、y 切片が等しい)を利用する
3.2つのグラフがともに2次関数のときに使える解法
共通接線をy=mx+nとおき、これが2つのグラフに接する条件(D1=0かつD2=0)を利用
(3)は、2本の共通接線の交点(X , Y)はパラメータa で表されるので、パラメータ a の存在条件で、X , Yの関係式とXの範囲を求める。
一般的に、XorYのどちらかがaの1次式の場合は、「a=~」にして、パラメータa を消去するだけでよいことが多い。(基本的に同値変形になっていることが多い)
第7講
【15番について】難易度:A
軌跡のパターン問題である「反転」。
一度経験しておけば、安心。
1学期にアップしたもの(P.342の22番(ⅠAⅡBの55テキスト))「てんてーが作った解答を」再度載せておきます。
反転前の点と反転後の点のパラメータの関係式を作るところが重要。
単位ベクトルの方向ベクトルを利用すると少しだけ早い気がする。
1.Oを始点として、反転後の位置ベクトルは、自分自身の大きさ(原点からの距離)と反転前の単位ベクトルを利用して表すことができる。
2.逆に、反転前の位置ベクトルは、自分自身の大きさ(原点からの距離)と反転後の単位ベクトルを利用して、表すことができる。
1と2は式の対称性(対等な関係)から明らかです。
反転後の点の軌跡が求めたいので、反転前の点を反転後の座標(X , Y)を用いて表すのがポイント。
(消したい文字)=(残したい文字)とすると、あとは、代入するだけで軌跡の方程式が得られる。
【16番について】難易度:B
実数解条件と領域の最大最小問題の融合問題。
実数解条件は、2変数関数の最大最小問題と絡めて出ることがある。
(時間があるときに探してここに載せるかもしれませんが、そのまま忘れてしまうかもしれません)
第2講のところにも書きましたが、
「x , yは、x+y=a, xy=bを満たす ⇔ x , y は、X2-aX+b=0の2解である」が成り立ち、この場合は虚数解でもOKなので、a ,bは任意の実数をとる。
しかし、x , yが実数であるという条件がつくと、
「x , yは、x+y=a, xy=bを満たす実数である ⇔ x , y は、X2-aX+b=0の2つの実数解である」が成り立ち、この場合は、(判別式)≧0から、a , bには、a2-4b≧0という制限(実数解条件)がつく。
2次試験レベルの領域の最大・最小では、場合分けする能力と曲線と接するときの処理能力が試されます。
確実にできるようにしておきましょう。
【17番について】難易度:B
通過領域の問題。
17番(2)の解答(授業中に図示できなかったので作りました)
17番の別解(特に、別解2のファクシミリの原理による解法は余裕があると身に着けておくとよい)
通過領域内の点(X , Y)は、その点を通った放物線Cが存在する、つまり、その放物線を作り出した実数aが存在する(逆像法)というふうに言い換えることができ、実数aの存在条件(X , Yの条件)を求めることで通過領域が求まる。
通過領域の問題は、逆像法を利用すると解の配置問題に帰着する。
逆像法でアプローチすれば、ほとんどが2次方程式の解の配置問題になるので、2次方程式が少なくとも1つ実数解をもつための条件を求められるようになっておくとよい。
(2次方程式にならないパターンも上の演習プリントに入れてあります)
2次方程式が少なくとも1つ実数解をもつための条件を求める問題は、1学期のHクラス①のテキストの3-1と2学期のSクラス①のテキストの14番にあります。
いろんな解法があるので、自分好みの解法を1つ身に着けておきましょう。
私は、軸が定義域の中にあるか外にあるかで場合分けする解法で基本的にアプローチします。
第8講
【18番について】難易度:C
領域と面積に関する問題だが、題意を満たす円の動ける範囲がしっかりイメージできるかが重要。
題意の読解の読み取りミスにも注意したい。
聞かれているのは円の周および内部が動いてできる領域の面積ではなく、円の中心(a , b)が動いてできる図形の面積である。
(1)は、与えられた領域Dの境界線である直線と円がが共有点をもつか持たないかの条件を利用して、点(a , b)が動ける領域が表す不等式を立式して、それを図示して面積を求める。
(2)では、与えられた領域Dの境界線上を円をコロコロ転がしていき、点(a , b)がギリギリ到達できる曲線全体を図形的に把握するのだが、(2)は中学受験の算数チックな感じで、差がつきそうな問題である。
また、(1)と(2)で解き方が全然異なるのもこの問題の難しい点と言えるだろう。
ちなみに(1)がEのすべての点がDの点となるような円の周および内部が動いてできる領域の面積だったら、難しいねと授業中に発言したと思うが、ちょうど今週、ある予備校の共通テストのⅠAの予想問題集を解いていたら、図形のところでその話題が出てきて、偶然、その問題に遭遇した。
その問題はきちんと誘導を利用すれば解けるように作られていたが、「なるほど、そうやって解くのか」と非常に勉強になった。
【19番について】難易度:B
ベクトルの終点の存在範囲の問題。
誘導がきれいに作られているので、それに従って順々に処理していけばよい。
(1)は、始点をOにして係数比較する。
(2)は、(1)で求めたrとsを代入して、与式がxについての恒等式となるように定数a , bを決定する。
(3)は、 数Ⅲの履修者は「① 1次分数関数のグラフを描く」そうでない人は、「② 0≦x≦2/3を同値変形して、r の式の形を作る」方法が考えられる。
②では、式変形で r=F(x)の形を目指す場合、F(x)の分数関数はまず、帯分数化をして変数を分母に集約するのがポイント。
分母と分子の取りうる範囲を作って、掛け合わせると、その範囲の大小関係は保証されるが注意が必要。
例えば、0<a≦f(x)≦b , 0<c≦g(x)≦dのとき、ac≦f(x)g(x)≦bdという大小関係は保証されるが、f(x)g(x)=acになるxが存在するかは注意が必要である。
f(x)=aかつg(x)=cを同時に満たすxが存在すれば、f(x)g(x)=acは成り立つが、f(x)やg(x)のようにxによって値が変わる関数では非常に危険である。
(4)は(2)(3)を上手く利用して、共線条件(係数の和が1)の形にする。
【20番について】難易度:A
解答と解説は上記のプリントを参考にして下さい。
文字が多くて式が少し複雑に見えますが、基本通りに解いていけば、問題ないと思います。
しっかり完答しないといけない問題レベルです。
第9講
配布物:21番~23番の補足
【21番について】難易度:A
三角形の外接円とベクトルに関する問題。
(1)の内積の作り方は、一度は経験しておきたい。
(2)は、ベクトルのお決まりの処理問題。
新しく出てきた点Hを決定している要因は何かをしっかり考えましょう。
このとき、平面ベクトルなので、まずは基準の2つのベクトルを何にするかを考える。
基準の2つのベクトルは、(1)で問われた内積から、ベクトルOAとベクトルOBにするのがよい。
ベクトルOCに関しては、与えられている条件式を利用して、基準のベクトルで表す。
(3)は、(2)で求めた比と(2)で点Hが決定されたので、数Aの平面図形(初等幾何)の問題として処理することになる。
もちろん、図形はいろんな解法(相似な三角形を利用など)が考えられるので、良い解法があったら、教えて下さい。
【22番について】難易度:B(図形と方程式)、C(ベクトル)
15番で扱った「反転」の問題。
まずは、15番の解き方をまねして、図形と方程式の問題として解いてみましょう。
この解法(22番の別解)の方が、スムーズに理解できると思います。
今回、(1)をベクトルでアプローチするのは超えないといけないハードルが多い。
反転前である点Pの軌跡は半径rの円と分かっているので、円のベクトル方程式で立式し、それを利用して、反転後のQに関する内積の条件式を作る。
このとき、内積の値に関して、正射影の長さを利用する見方ができないとゴールがイメージできないと思われる。
授業中に何個か図を描いたと思うので、そのあたりを参考にしてしっかり理解して欲しい。
共通テストを受けるにあたって、高得点が取りたいのであれば、日頃から1つの問題に対して多角的な見方ができるようになっておくとよい。
何か問題を解いたときに、別解が書いてあれば、必ずしっかり読み、自分に持っていなかったアイテムなのであれば、そこがその問題を解いた意義であり、自分の能力が上がるポイント。
(2)は円と直線が異なる2点で交わる条件なので、d<rを利用。
第10講
【23番について】難易度:C
(1)は、任意の平面ベクトルは1次独立な2つのベクトルでただ一通りで表せるので、ベクトルuをm×(ベクトルa)+n×(ベクトルb)とおくことがポイント。あとは成分を比較して、m, nを求める。
(2)は、ただ(内積)=0を計算するだけ。(4)の問題のために用意された問い。
(3)は、点Rが「①PQ上 ② 直線ℓ上」を利用する。
ベクトルORを①と②のそれぞれで成分表示し、両者を比較して、Rを決定させる方法と、ベクトルを2つの基準ベクトルを用いて2通りで表して、係数比較する方法がある。
(1)で3つのベクトルa , b , uの関係式があるので、これを利用して、2つの基準のベクトルの一つをuにして、a , bのどちらかを取り替えた方が計算がラクになるような気がする。授業では、bとuにしました。
本題は(4)である。個人的にはこういう問題が本番で取れるかが非常に大事だと考えている。
(4)はまず(3)で登場した点Rをどう使うかをしっかり考える。
(1)を解く時点で、P , Qがそれぞれ、A , Bを通り、ℓに平行な直線上にある図を描いているかで、Rの使い方に気づけるかが変わってくるだろう。
面積FをORで三角形2つに分割したとき、高さの和が一定となるというところがまず1つ目のハードル。
あとは、ORの長さが最小のときに面積Fが最小になるのだが、この最小問題が、2変数関数で1変数にすると、数Ⅲの微分を使うことになる。
数Ⅲを使わずに解くには、逆像法(実数解条件)で解くことになるのが2つ目のハードル。
(逆像法を用いた最大最小の練習問題は12月のどこかでアップしておきたいと思います)
方針は、(2)と(3)で得られた2式が同時に成り立つような実数s , tが存在するような実数kの存在範囲を求めることになる。
(3)で得られた k , s , t の関係式を利用すれば、s もしくは t を消去できるので、あとは2次方程式の判別式の条件でkのとりうる範囲が求まる。
【24番について】難易度:A
解答と解説は上記のプリントを参考にして下さい。
しっかり完答しないといけない問題レベルです。
【25番について】難易度:B
(1) ベクトルを利用or三角形の相似を利用でも好きなように解けばよい。
(2) 四角形PQRSが等脚台形になるところがまず1つめのポイント。
あとは、この等脚台形は(上底)+(下底)=1で一定なので、高さをどうやって、tの関数として表せばいいかを考える。(もちろん、面積をt の関数として表してもよい)
PQとRSの中点を結んだ線分を高さにすれば、余計なものを求めなくて済む。
都合の良いところで垂線を引くという経験や発想が今後どこかで役立つといいなぁ。
第11講
【26番について】難易度:B
(1)は(2)のために用意された問い。
(2)は単純に3つの基準ベクトルa , b , cの大きさと内積を利用して、ベクトルOPの大きさを tの関数として表し、2次関数の最小値問題として、処理する解法が単純で良いと思う。
長さが最小になるのは、OPが平面ABCに下ろした垂線になるときなので、(内積)=0という方法もアリ。
(3)の最大のポイントは、四面体QABCが等脚四面体であるため、Qから平面ABCに下ろした垂線の足Hは、△ABCの外心に一致し、△ABCが正三角形でもあるため、重心でもあるというところ。
条件(i) , (ii) , (iii)を把握して、図が描けることが重要。
あとは、2点P , Hが線分AD上(P , HはそれぞれADの内分点)にあることと、(2)の結果、重心の性質を利用して、PとHの位置関係を求めればよい。
【27番について】難易度:B ★オススメ問題
問題の把握は難しくないが、どういうアプローチをするかで、計算量や難易度が変わってしまうだろう。
方法としては
①「線分AC上に点Rをとって、DRが平面APQと垂直に交わるための必要十分条件を求める」
②「 Dから平面OPQに下ろした垂線の足をHとして、直線DHと線分ACが交わるための必要十分条件を求める」
③「平面OPQの法線ベクトルの1つnを外積を利用して作り、Dを通り、nを方向ベクトルとした直線をベクトル方程式で立式し、その直線上の点が線分AC上にもあるための必要十分条件を求める」
①は線分ACからアプローチ、②③は平面OPQからアプローチしている。
最終的に、自分で設定した文字は消去しないといけないことと、2変数以上が従属の関係にある場合は、他の文字から受ける束縛条件に注意しないといけない。
【28番について】難易度:A ★定番問題
(1) 平面に関しての対称点の問題。
図形と方程式(数Ⅱ)で出てくる直線に関する対称点の3Dバージョン。
対称点は「中点と垂直」を利用するのがよい。
CDの中点をHとすると、Hが決定できれば、Dが決定される。
CH⊥(平面OAB)「あるいは、CD⊥(平面OAB)」という状況を処理する場合は、
「① ベクトルCH(or CD)とベクトルOAおよびOBの内積が互いに0であることを用いる」か、「② 平面OBCの法線ベクトルnを外積で作り、CH(or CD)とn が平行であることを利用する」方法がある。
(2) (3)は高さと底面積を求めるただの計算問題。
第12講
【29番について】難易度:B ★オススメ問題
軌跡と領域の応用問題。個人的に「光源と影の問題」と呼んでいる。
Qを定めると、点Rが直線PQ上かつxy平面上にあることで決定される。
ベクトルPQとベクトルPRが平行であるので、k倍(実数倍)の関係で成り立つが、ポイントはRがxy平面上にあるための実数kがただ一つ存在するということである。
(細かいことを言うと、球面上の点Qを先に1つ定めれば、xy平面上の点Rは1つに定まるが、xy平面上の点Rを先に1つ定めると、球面上の点Qは1つor2つ定まることがある)
R(X , Y , 0)とおき、点Qが球面S上にあることと、上記を満たすような実数kが存在するための存在条件で、X , Yの関係式が得られる。(逆像法)
【30番について】難易度:B
(1) Pは2つの直線の交点なので、2通りで表して成分比較をする。
(2) 直線PAとOCは平行であり、また、直線PBと直線ODは平行なので、k倍(実数倍)の関係が成り立つことを利用して、tの値を求めるとよい。
授業中に相似比を利用するという方法もあると書いたが、相似条件の3辺の比がそれぞれ等しいを使うか、
2辺の比とその間の角がそれぞれ等しいを利用するため、少し遠回りになる。
(3)はDHと平面PABが垂直であることをどうアプローチするかで2通りの方法がある。
問題28の(1)でも書いたが、
① ベクトルDHとベクトルPAおよびPBとの内積が互いに0であることを用いる」か、「② 平面PABの法線ベクトルnを外積で作り、DHとn が平行であることを利用する」方法がある。
余裕があれば、法線ベクトルでの解法もできるようになっておくとよい。
とにかく、(3)は計算をしっかり合わせることが重要である。
テキストの復習
【問題のランク付け】
勝手に個人的に感じた難易度評価をしておきました。
問題を難易度や解きやすさでA , B , C , Dの評価をつけています。
扱った問題は全部復習して欲しいですが、どうしても数学が苦手な人は、A , Bを重点的に復習しましょう。
仮に捨て問だったとしても、その問題から学べることはあります。
特に、C問題でも大事な考え方を得られるので、できる限りやっておきましょう。
あくまで個人的な感覚なので、ランク付けは参考程度にして下さい。
A:解けないといけない問題
B:合格者なら正解する人が多いと思われる問題
C:解けるとアドバンテージが大きく得られる問題
D:解ける人が少なくあまり差がつかないであろう問題